NPO法人MISは東大生を中心とする大学生およそ200人からなる、東南アジアの学生との交流や現地の社会問題の解決を目指す活動を行う団体だ。MISは東南アジアの国ごとにチームが分かれ、それぞれの国に応じた活動をしている。記者は、その中のミャンマーチームが開催した、ミャンマーの現状を学び解決策を模索する勉強会に参加した。
勉強会には日本人の大学生を中心に、ミャンマーに関心を持つ社会人や在日ミャンマー人など30人近くが対面で参加したほか、オンライン上でも60人近くが集まった。
第1部では、ミャンマー出身の医師でミャンマーの民主化に向けて活動するDr. Sasaによる講演が行われた。ミャンマーでは、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟の民主化に対抗した軍部によるクーデターが起こり、軍に反対する国民に対して攻撃が行われている。医療体制にも影響が生じ、新型コロナウイルスの感染者数がクーデター以後急増しているなどの現状を説明したDr. Sasaは、改めて民主化を主張し、参加者に向けて国際支援や、言論統制がなされない日本のような国の若者が声を上げることの必要性を説いた。講演の後には、予定時間を超えるほどの多くの質問がなされた。
第2部では、講演を踏まえ、ミャンマーにとっての理想のリーダー像や政治体制、少数民族との協調の在り方などこれからのミャンマーについてのさまざまな議題でディスカッションが行われた。ディスカッションに参加したミャンマー人参加者の「軍によりいきなり自分や家族が殺されることが想像できますか」という言葉が重く響く。文字で得た情報だけでは理解できなかったであろう、ミャンマーの現実に即した議論が行われた。
以前は春と夏の渡航での現地の学生との交流を軸に活動していたが、コロナ禍となり、オンライン上での活動を余儀なくされた。ミャンマーチームのメンバーである平野智之さん(文Ⅱ・2年)は「コロナになったことで主体性がより求められるようになった」と語る。今回の勉強会も現地での直接的な活動が制限される中で、クーデターに苦しむミャンマーの人から話を受け、何かできることはないかとチーム全体で一から企画したという。
勉強会は全4回を予定している。「今回は初めての開催となり、手探りとなる部分も多かった」と話す、ミャンマーチームのリーダーである水谷起基さん(文Ⅲ・2年)は「今後も勉強会に参加する人と、ミャンマーの人々、どちらにとってもプラスになるものにできるように運営していきたい」と語る。
勉強会を通して多様な参加者と交流したことは、記者が今まで気付かなかった新たな視点を持つきっかけとなった。MISは今後も日本と東南アジアの国々の相互の交流を発信し、気付きを与えてくれるだろう。
勉強会に興味を持った方はこちらへご連絡を。
(佐藤健)