2020年の内閣府委託調査によれば、就活をした大学4年生のインターン経験率は全国で79%だが、参加時期は3年生に集中している。一方で、早期から長期インターンを始める人もいる。さまざまな分野の長期インターン経験者5人に取材し、その実態を聞いた。(構成・丸山莉歩)
ミツモア 自分がつくったものがビジネスに
王詩帆さん(文II・2年)の場合
300以上のサービスの見積もりを自動化する日本で唯一の見積もりプラットフォームを開発・運営するベンチャー企業・ミツモアで、昨年から新規事業開発チームのマネージャー直下でインターンをしている王さん。ユーザーにソフトウエアの見積もりを提供する新規サービスの開発に携わり、現在はユーザーインタビューやA/Bテストを実施し、デザインや機能の向上など多くのユーザーが快適に利用できるための改善を行う。
長期インターンに挑戦しようと思ったのは1年生の1月ごろ。進学選択を控え、社会に出る前に大学で何を学ぶかを考える上で「社会人として働くということはどういうことかを知りたい」と思い、長期インターンを始めた。Wantedlyという求人サイトや先輩からの紹介で企業を探し、4、5社の面接を行った。ホームページの第一印象、事務作業だけでなく自身の裁量が大きい仕事ができること、女性の割合が高いことやワークライフバランスが重視されていることなど将来自分が働きたい環境に近いことから、3月ごろにミツモアをインターン先に決めた。
ミツモアでは、社会人の生活に触れるだけでなく、人に読んでもらいやすい文章の書き方や自分以外の人も含めたスケジュール管理の方法などのスキルも身に付けられた。どの社員も学生である自分に対等に接してくれた分、初めは、細かい指示のないまま出される仕事に戸惑うこともあった。しかし、自分なりに細分化し、確認を取りながら仕事を進められるようになった。ミツモアで出会ったマネージャーは、ワクワクしながら仕事をしている人で「社会人も悪くないな」と思えたという。開発の初期から携わったものがミツモアの既存のサービスと同じくらい成長し、自分たちが一から作ったものがビジネスとして成立するようになっていったことにも感動した。
社員とほぼ変わらない仕事ができ、社員との交流も活発な企業だと、プライベートや前職の話など、社会人としての生き方も知れるのが長期インターンの強みだ。長期インターンをしようと思っている人はいろいろな業種の企業を見た上で選ぶとよいと王さんは語る。「進路に迷っている人にはお勧めだと思います」