篠崎奈々特任研究員、村上健太郎特任教授(ともに東大大学院医学系研究科)らの研究グループは、ソーセージや菓子パンなど加工の程度が著しく高い超加工食品と食事の質の関係性を解明した。成果は4月24日(現地時間)付の英専門誌『Public Health Nutrition』オンライン版に掲載された。
超加工食品は脂質やナトリウムが多くたんぱく質・食物繊維・ビタミンなどが少ないため、多く摂取すると食事の質の低下を招く可能性があり、肥満や心血管疾患などとの関連も報告されてきた。一方で、これまで日本では超加工食品の摂取量と食事の質に関する研究はめったになく、摂取量の推定に必要になる食品加工度の分類にも統一的な方法がなかった。
研究では全国規模の食事記録データにより、超加工食品の摂取量や食事の質との関連を調査。加工度を「未加工/最小限の加工」「基本的な加工」「中程度の加工」「高度な加工(超加工食品)」に4段階に分類。惣菜や外食などにこの分類を適用すると、食材に分解せず料理レベルで分類する場合、1日の総エネルギー摂取量に占める超加工食品の割合が料理中の食品レベルで分類した場合より5割程度高く見積もられることや、分類方法にかかわらず摂取量が多いほど食事の質は下がることを明らかにした。
日本ではアルコール摂取量の増加など食生活の欧米化が進展している。研究は公衆栄養の政策決定や超加工食品に関わる疾患などの研究の発展に資することが期待される。