文化

2023年1月13日

【知のrecipe】未知に挑戦! 至福のコク旨ラーメン鍋

 

 寒いと食べたくなる鍋。しかし1人暮らしの台所には片手鍋しかないことも……。1人前ごとに包装された鍋の素もあるけれど、せっかくなら「1人でもいい」より「1人だからいい」鍋が食べたい! 東大卒食文化研究家スギアカツキさんに「片手鍋」「1人で食べ切れる分量」「味変や丸ごとの食材など『1人』『片手鍋』だからこその楽しみ」というわがままなリクエストで鍋物レシピを聞いた。

 

至福のコク旨ラーメン鍋

 

 1人暮らしでも鍋を楽しみたい。そんな願いを叶えるべく、おいしくて栄養満点のレシピを考えました。今回のポイントは、お湯の代わりに「アーモンドミルク」を使うこと。牛乳に比べると低カロリーでありながら、ビタミンEが豊富で抗酸化作用が期待できるヘルシー飲料です。しかも加熱調理に強いため、料理に慣れていなくとも固まったりしにくく、濃厚スープをカンタンに作ることができます。市販スープとは別次元の味わいを体験してみてください。環境負荷を下げる植物性ミルクとしても注目されていますから、正しい知識を携えておいしく使いこなすことができたら素敵。新しい食材との出逢いは皆さんの知性ある人生をおいしく確かに温めてくれるはずです。

 

材料

 

【材料(1人分)】  
鶏肉(もも肉、手羽先など) 200~300g
ネギ 1/2本
キムチ お好み量
青菜もしくはえごまの葉 お好み量
白菜(カット) 2つかみ程度
ショウガ(スライス) 5枚程度
インスタントラーメン 1袋
1個
アーモンドミルク(無糖) 500ml
ごま油 大さじ2
コチュジャン 大さじ2
オイスターソース 大さじ2
ハチミツ 大さじ1
カレー粉(味変用) 大さじ1
   
※鍋の具材や量は自由に決めるくらいが良いです。
※手羽先を使う場合はあらかじめ30分程度煮ておくと柔らかくなります。

 

レシピ

 

(1)鍋にごま油とショウガを入れて火にかける。香りが出てきたら白菜を加えしんなりするまでよく炒める。

 

(2)アーモンドミルク、コチュジャン、オイスターソース、ハチミツを加えて加熱し、沸騰しそうなタイミングでラーメンや具材を加えて煮込む。麺はほぐしながら加熱する。スープが足りなくなってきたら水を足して調整する。味が物足りない場合は、ラーメンに付属のスープを活用する。

 

(3)全体的に火が通ったら卵を落とせば完成。

 

(4)途中味を変えるためにカレー粉を投入して楽しむ。

 

記者が挑戦

 

 レシピをもらって仰天した。アーモンドミルク。しかもハチミツ。これは相当な変わり種では。くたくたでしょっぱい白菜に慣れた舌には不安なラインナップだ。

 

 白菜は好物なのでたっぷり。外側の葉3〜4枚でまな板に山ができる。芯が好きなので、そぎ切りにして余すところなく入れた。肉は200g弱でもやや多いと感じた。煮るとかさが減る白菜と違い、肉のかさはこのままなので、胃に入る量に調節しよう。

 

 ごま油とショウガを加熱し、白菜を炒めていくとお腹の空く匂いが立つ。このまま食べてしまいたい。アーモンドミルクなんて入れていいのか。ドキドキしながら200mlパックを二つ投入した。肉を減らしたのでこれでちょうど良さそうだ。具材を入れ、沸騰したらラーメンを入れてしまうそうだが、白菜をくたくたにしたいので煮続ける。初めての見た目だが、香りはおいしそうだ。

 

 煮ること十数分、ついにラーメンを入れ、麺がほぐれたところで卵を落とす。コチュジャンとオイスターソース、キムチが交ざり、複雑で食欲をそそる香りがする。

 

 鍋から直接食べるには熱すぎたので皿にとり、麺をすする。口にしてすぐキムチ系のうま味を感じた。複数の調味料をアーモンドミルクがマイルドにまとめ、「どこの国でもないのに異国風」という複雑な味わいを作り出している。見知らぬ土地のごちそうといった味を、ほんのりとした甘みが追いかけてきた。ハチミツだ! おかずに甘さを求めない人はギョッとするかもしれないが、この甘みが次の一口を呼ぶ。スープの甘さは不思議と具材には移らず、プリプリの鶏肉も塩気がちょうど良い。具材の中では白菜の芯が優秀で、噛むほどにうま味とコクの強い汁があふれる。キムチもジューシーだ。カレー粉の味変で最後まで飽きずに完食できた。

 

 これは確かに市販のスープとは別次元。未知の味が不安な読者も、調理は簡単なのでぜひ挑戦してほしい。「一人鍋」がテーマだが、友達と不思議がりながら食べても楽しいだろう。もちろん1人で食べるなら、調味料の配分を変えたり味変のバリエーションを増やしたりして自分好みのポイントを見つけられるのも魅力だ。【広】

 

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