受験

2021年1月2日

【直前期の接し方】東大生に聞く、保護者にやってもらって良かったこと・嫌だったこと

 

 

 入試直前期の受験生は緊張から神経質になることがある。そんな受験生にどう接するべきか悩む保護者も多いのではないか。東大新聞編集部の1年生4人に、入試直前期を振り返って保護者に感謝していることや逆に気を付けてほしいことなど、保護者とのエピソードを聞いた。受験生への接し方の正解は十人十色だが、本人目線の意見を参考にしてみてはいかが。

(構成・山崎聖乃)

 

普段通りの距離感で

 

Nさん(文Ⅱ・首都圏・現役)

 

 私の両親は特に干渉せず、そっとしておいてくれるタイプの人でした。というのも、私の母は自分が子供の時に親に「勉強しろ!」とよく言われた苦い経験があり、自分が親になった時は子供の勉強にはあまり干渉しないと決めていたそうです。 また、父も自らは口を出さず、私が数学の問題などで悩んで質問した時にだけ答えてくれました。私はかなりマイペースな性格で、自分のテンポで受験生活を送りたかったので両親の私に対する姿勢は非常に助かりました。入試の直前期も、あまり普段と変わった態度で接してくることもなく、当日の見送りもなかったので、いつも通りの気持ちで試験に臨むことができました。

 

 また、いろいろ世話してあげるのが良いとは限らないと思います。実際私は、ホテルの予約や入試の願書の作成、受験料の振り込み、キャンパスへの行き方を調べる、という受験に向けての一連の作業を全て自分で行いました。多少面倒なので親がやってくれたら楽だったかもしれませんが、今思い返せばそれらの作業を通じて「自分はこれから東大を受けるのだ」という覚悟ができたと思います。完全に放置する、というのも良くないとは思いますが、子供との距離感を受験期だからといって急に変えたりしないというのが大切だと思います。

 

プレッシャーを与えない雰囲気づくりを

 

Kさん(理Ⅱ・地方・浪人)

 

 私は塾に通っていなかったので家にいる時間が長く、また特に入試直前の時は受験勉強が嫌になっていたので、家で何もせずにボーっとしている時間が長かったのですが、そんなときでも親は「勉強したら」とは言いませんでした。プレッシャーがストレスになってしまう性格なので、プレッシャー無く過ごすことができたことに感謝しています。入試前日も東京観光に行くことを勧めてくれ、それに従ったことが当日にあまり緊張せず試験に臨めた理由かなと思っています。親のプレッシャーを感じさせない雰囲気づくりがとても助かりました。

 

 一方で、やたらと防寒着を気にするのはやめてほしいと思いました。母は自分自身が冷え性であることもあり、過剰に寒さに敏感なので入試当日などしつこいくらい防寒グッズを勧めてきたのです。実際に試験に影響するなどといった実害があったわけではなかったものの、なんとなくつらい気持ちで入試会場に行く電車に乗った記憶があります。保護者が受験生のためと思ってしている発言や行動でも、しつこく押し付けがましいと、受験生の精神的負担になってしまうので気を付けてください。とはいえ、寒さと緊張は関係があるらしいので、防寒に気を付けてくれた母には感謝した方が良いのかもしれません。

 

口は出さずにサポートを

 

Mさん(理Ⅰ・首都圏・浪人)

 

 私は親が直前期・当日に限らず、勉強以外のことに時間を割かなくて良いような環境を用意してくれたことに感謝しています。おかげで食事や金銭面の不安がなくありがたかったです。また受験先も含めて全て私に一任してくれたことが精神面に良い影響を与えたと思います。受験や勉強については口を出さずに、お金と食事を出すという親のスタンスに感謝しています。

 

 また、親が受験当日に交通情報をチェックしてくれて助かりました。電車が遅延していたのを父が発見してくれたおかげで、早めに家を出ることができ遅刻せずに済みました。

 

 しかし、入試前日に両親が飲み会で酔って帰ってきたのは残念でした。特に年に数回しか飲み会に行かない父が本番前日にだけ飲みに行くというイレギュラーは必要なかったです。受験生は、入試前日は落ち着いて過ごしたい場合が多いので、普段と違うことや飲酒はしない方が良いでしょう。

 

 さらに、結局受験しなかったため問題なかったのですが、後期受験のために親が予約していた宿が会場からかなり遠いことにキャンセルする際に気が付き驚きました。複数キャンパスがある場合有名なキャンパスと受験するキャンパスが異なる場合があるので、受験生に代わって予約する保護者の方には事前リサーチをしっかりしてほしいです。

 

保護者の同行が吉

 

Yさん(文Ⅲ・地方・浪人)

 

  私は試験1日目の数学で大失敗してしまい、憂鬱(ゆううつ)な気持ちでホテルに帰りました。私が落ち込んだ様子だったからか、一緒に東京に来ていた母は試験の出来を深く追求しませんでした。夕飯の最中、母がポツポツと、私が試験を受けている間に何をして過ごしていたのか話してくれ、その後、私も試験がどうできなかったのか少し話しました。母は全く私を責めなかったし、気落ちした様子も見せませんでした。私はあまり楽観的なタイプではないので、頑張ってきたのだから絶対大丈夫だよ、などの安易な励ましを母がしなかったのも正解だったと思います。普段通りの母と会話したことによって、私の落ち込んだ気分はかなり回復し、2日目の試験には落ち着いてに臨むことができました。母に東京まで着いてきてもらって良かったです。

 

 一方で、保護者の焦りや不安は伝染するということを心に留めておいてほしいです。当日の朝、ホテルから母と一緒に入試会場へ向かったのですが、道に迷ってしまいました。早めに出発したので大分時間に余裕はありましたが、母が間に合わなかったらどうしようと大騒ぎしたため、私まで焦って落ち着いて地図が読めませんでした。結果的に集合時間より早く会場に着くことができたのですが、試験前なのにとても疲れてしまったのを覚えています。

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