受験

2019年1月15日

【受験生応援2019】睡眠専門医・坪田聡さん 入試直前の「睡眠」のアドバイス

 受験直前期の今は、寝る間を惜しんで勉強に励んでいる受験生も多いと思います。しかし、睡眠不足が裏目に出て、試験直前に体調を崩してしまっては仕方がないですよね。そこで、最良のコンディションで試験当日を迎えるにはどうすれば良いか、睡眠専門医の坪田聡さんからアドバイスをもらいました。

(取材・曽木悠美)

 

坪田聡(つぼた・さとる)さん (睡眠専門医)

 1987年金沢大学卒。1987年に医師免許取得。日本医師会、日本睡眠学会、日本コーチ協会に所属。2007年より、総合情報サイト「All About」の睡眠・快眠ガイドとしても活躍している。

 

──勉強中の仮眠や一夜漬けにはどのような効果がありますか

 短時間の仮眠ならば、勉強中の眠気を減らして効率を高めてくれます。しかし、夕方以降に長時間仮眠を取ってしまうと、その分眠気が減り、夜寝つきが悪くなったり深い睡眠が取れなくなったりするという弊害があります。

 

 また、一夜漬けも記憶定着には向いていません。確かに、一夜漬けすると勉強時間が長くなってたくさんのことを記憶できるので、翌日の試験には有効です。しかし、勉強した後にきちんと睡眠を取らないと、記憶が脳に定着しにくくなり、数日後にはほとんど忘れてしまいます。

 

 いつもは8時間眠っている人が睡眠を2時間削るだけで、ほろ酔いする程度のアルコールを飲んだのと同じ状態になります。同程度のアルコール量で運転すると、酒気帯び運転として検挙されてしまうくらいですから、注意が必要です。

 

──受験生が陥りそうな障害やトラブルにはどのようなものがありますか

 昔は「四当五落」という言葉がありました。「4時間睡眠で寝る間も惜しんで勉強すれば合格するが、5時間睡眠だと不合格になる」という意味です。しかし、実際は必要十分な睡眠を取ってスッキリした頭で勉強し試験を受けることが大切です。

 

 また、睡眠には免疫を強化する役割がありますが、睡眠不足では免疫力が落ちてインフルエンザや風邪をひきやすくなってしまいますので要注意です。

 

──試験前日に熟睡するための効果的な方法を教えてください

 眠る前の30分~1時間は、テレビやゲーム、スマートフォンなど電子メディアの画面を見ないこと。睡眠ホルモンのメラトニンが減って寝つきが悪くなったり睡眠の質が悪くなったりするからです。

 

 また、試験前日には、普段眠る時刻からその1時間前くらいには眠りにつきましょう。2時間以上早く眠ろうとしても、無理なことが多いです。受験のしばらく前から、眠る前にやることを決めて習慣化しておく(スリープセレモニー)と、緊張する試験前日もリラックスして眠れますよ。

 

──睡眠に関して、試験本番で実力を発揮するための対策を教えてください

 できれば受験前日は、普段より1時間ほど長く眠って、それまでの睡眠不足を補っておきましょう。試験の当日は、いつもと同じ時刻に起きることを心がけると良いです。体内時計の調子が狂わず良い体調で試験に臨めます。

 

 眠る前に起床時刻を強く念じる「自己覚醒法(self-awakening)」を行うと、スッキリ目覚めて気分良く試験を受けられます。自発的に起きたときと強制的に起こされたときとでは、目覚めた後の眠気の強さや脳の働きに、明らかな違いがあります。習慣的に自己覚醒で起きることができている人は、そうでない人に比べて、日中に居眠りしにくく高い覚醒度を保てるので、勉強の効率アップにもつながります。

 

──受験直前にしない方がいいことはありますか

 普段と違うことはやめておきましょう。人から薦められたアロマやサプリ、薬などを使うなら、事前に使ってみて、どのような効果や副作用があるかを確認しておきましょう。

 

──最後に、受験生への応援メッセージを願いします

 十分な睡眠時間(高校生では8時間以上)を取っている人ほど、良い成績を取っています。日ごろから必要十分な睡眠時間を確保し、眠ることも受験対策の大切な一つだということを認識して試験に望んでください。しっかり眠ってスッキリした頭で試験に臨めば、きっと実力を発揮できるでしょう。

 

※この記事は、2018年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。

 

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