東大の太田邦史理事・副学長(教育・情報担当)はChatGPTなど言語生成系AIツールの授業利用について、現時点での考え方をまとめた。オンライン授業やウェブ会議の情報を集積したポータルサイト(utelecon)上で、4月28日付で発表した。AIツールの利用を大学として一律に禁止しないことを改めて提示し、利用の是非や方法については教育効果を最大化できるように個々の教員や各学科・専攻などが判断することが重要だとした。
教員らが教育方法を設計する際の具体的な考え方も併せて発表。言語生成系AIの使用で教育目標が達せられるかを授業担当者が判断し、利用の可否を学生へ明確に伝えるべきだとした。利用する場合は、個人情報の漏えいや著作権侵害の可能性が生じることを含めて伝達することも推奨。AIの利用で簡単に解答が導かれないような課題の工夫も重要だとして「短い課題を授業中に課す」「解答に至るまでの『過程』を重視する」などの対策も例示した。他にも課題に対する言語生成系AIの回答レベルの認識をしておくこと、学生による不正の判断方法としてのAI検出ツールを過信しないことも共有した。
言語生成系AIがもたらす情報の真偽は不正確性が強いという一方で、これらツールの登場が新たな思考方法や教育方法を提供するとの見方も示す。ブレインストーミングやプレゼンテーションの相談・サポート相手として有用であり得、変化を見極めつつ教育内容や評価方法の改善が求められるとした。有用な情報収集や作業の効率化の可能性を念頭に、東大内の全学的な議論で各分野の対話を推進する予定で、今後発表文書の内容も更新する可能性があるとしている。
言語生成系AIはChatGPT、BingAI、Bardなど、機械学習で取り込んだ既存のデータを基に文章を出力するシステム。強化学習やモデル修正により有害な文章を避けて自然な文章の生成を可能としたものが昨今相次いで公表された。