2021年10月31日

本が広げる本の世界──批評から始める秋の読書マップ

 「この世界において、すべては、一巻の書物に帰着するために存在する」。19世紀フランスの詩人ステファヌ・マラルメの言葉だ。この一文でさえその真意を理解しようとすれば万巻のマラルメに関する研究書や論文が必要だろう。だが紙幅と何よりも能力の問題から、ひとまず学生が教科書の偉人の肖像に落書きをするような気ままさで、この言葉を次のように読み変えながら本の世界の広がりについて考えてみたい。「一冊の書物すら、
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