10月に入り、年明けから受験が始まる受験生もいよいよ受験に対する実感が湧いてきた頃かもしれない。本企画では東大生が東大の二次試験に向け勉強のコツや時期別の勉強法、本番の時間配分などを解説する。今回は現代文編だ。
理系は評論が1問、文系は加えて随筆文も出題。古文・漢文と合わせて行われ、全体の試験時間は文系150分、理系100分です。そのうち、現代文にかける時間は理系は50分、文系は80分程度が目安となり、その間受験生は「傍線部はどういうことか」「傍線部はなぜか」を問う記述問題に答える必要があります。
問題に取りかかるうえで、前提となるのは語彙(ごい)力です。単語帳を手に取り意味把握に苦労するようであれば、まず語彙(ごい)力の改善を優先してください。また、漢字の書き取り問題も出題されます。早い段階から練習を積みましょう。
問題文の内容を理解できて初めて、記述問題に取りかかることができます。理由説明では、文中の論理展開を解答に全て落とし込めているか意識し続けましょう。筆者が独自に意味付けている概念を一般のものとして扱えば議論の精密性は損なわれます。議論中の譲歩構文も見逃されがちです。満足な点が取れない場合は、解答を修正するだけでなく、そこから自身の悪癖を見いだす作業が大切になります。内容説明問題では、書くべき内容と答案の構成を確定させる能力も必要です。とりわけ傍線部に慣用表現や接続詞が含まれる場合は、その意味を考えて記述する対象の範囲を確定させなければ、大きな要素を取りこぼす危険があります。傍線部分の一言一句に注意深く目を凝らし、全て言い換える意識を持つことで大幅な失点は免れます。
東大の現代文は、自分の言葉で文意を表すところに一つの難しさがあります。過去問を解く際には複数の模範解答を参照し、各要素をどのようにまとめ、全体としてどれ程の要素を詰め込んでいるのかを肌感覚でつかんでいきましょう。
余裕をもって時間が設定されていますから、解くのを急ぐ必要はありません。問題に我慢強く向き合い、易しい問題での不用意な失点を避けることさえできれば、おのずと合格者水準の得点が視野に入ってくるのではないでしょうか。(文Ⅰ・1年)
国語、数学、地歴、理科の勉強法アドバイスを掲載している2024年9月号「受験生特集号」はこちら