2月4日に開幕を控える北京冬季オリンピック。前回大会で金メダルを獲得したフィギュアスケート男子の羽生結弦選手や、日本史上初の銅メダルを獲得したカーリング女子のロコ・ソラーレが出場するなど、今大会も氷上の熱い戦いに目が離せない。今回はカーリング、フィギュアスケート、アイスホッケー、スキー(ジャンプ、クロスカントリー、アルペン)の6種目について、各競技の「見どころ」を解説してもらった。第3回はフィギュアで、東京大学運動会スケート部フィギュア部門による寄稿。(寄稿=大森七海)
観戦の際には率直な感性を大切に
音楽に合わせて演技し、要素の難易とその出来栄えを競う技術点と、音楽の解釈や身のこなしなど芸術性を評価する演技構成点の合計で勝負するフィギュアスケート。1人で滑る男女シングル、2人で行うペア・アイスダンスとさまざまな種目があり、振り付けや選手の表情など順位や点数によらない楽しみ方ができるのも魅力の一つです。ジャンプの申し子、芸術性を極めし者、エンターテイナー……。各選手の持つ優れた個性にも注目です。
男女シングル では6種類のジャンプや多彩なバリエーションを含むスピンなど、いわゆるスケートらしい技を競い合います。近年は男女共に技術の高度化が進んでおり、女子であっても4回転ジャンプなどの大技を組み込む選手が現れています。メダル争いが期待される種目ではありますが、技の成否だけでなく、滑りの質や音のとり方などそれぞれの個性にも注目です。男子シングル代表は羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手。女子シングル代表は坂本花織選手、樋口新葉選手、河辺愛菜選手です。
ペアはシングル競技に近く、カップルならではのアクロバティックな技が目を引きます。男性が女性の腰を支えてテイクオフするスロージャンプ、男性が女性を頭上に持ち上げるリフトなどは見どころの一つでしょう。日本は長らくカップル種目が弱点でしたが、近年は三浦璃来・木原龍一組がGPファイナルに進出するなど、明るい展望を抱かせています。代表は三浦・木原組です。
アイスダンスはいわば氷上の社交ダンス。ジャンプがない代わりに複雑なステップを通して滑りそのものの技術を競います。わずか数分間の演技中に交わされる視線や微笑み、互いのしぐさ。そんなふとした瞬間に注目しながらカップルが作り出す独自の世界観を味わってほしいです。代表は小松原美里・小松原尊組です。
よくスケートは玄人向けであると言われます。細かいルールに見分けのつかない技の数々。近頃はお茶の間での TV放送もめっきり減り、新参者が近寄り難い雰囲気を発しているかもしれません。ただ忘れてはならないのは、フィギュアスケートは見る者なくしては成立し得ないスポーツだということです。観戦で何よりも大切なのは自分の率直な感性です。ジャンプ、スピン、表現、どこに注目して見ても良く、自分の胸を打つ演技は必ずあります。だから、ぜひ観て、その素晴らしさを存分に味わってほしいです。五輪を機に出場選手、ひいてはフィギュアスケートそのものへの関心を深めていただければと思います。
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