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2023年3月7日

WBC直前 野球のルール総ざらい!

 

 3月8日に野球の世界一を決めるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開幕する。東大新聞オンラインではWBCにちなんだ企画をスタート。第1弾の今回のテーマはルールだ。野球の基本ルールを、終盤ではWBC独自のルールをいくつか紹介する。今まで野球を観戦したことがない読者の方も、最低限この記事の前半に記載したルールさえ押さえればWBCを楽しめることに違いない。また、野球好きの読者の方も、記事の終盤でWBC独自のルールを確認し、WBCをさらに楽しむ一助とされたい。

 

野球とはどんなスポーツ?

 

 初めに野球の概要をお伝えする。野球は1チーム9人制のスポーツで、一方のチームが攻撃、他方が守備につく。攻撃側のチームが3回「アウト」になると攻守交替。基本的には両チーム9回ずつ攻撃し、得点が多い方が勝利する。

 

 プレーは、守備側のチームの投手が捕手に向けて球を投げることで始まる。攻撃側のチームの打者はその球をバットで打ち、守備側のチームが打球を処理する間に一塁、二塁、三塁、本塁へと走って得点を狙う。

 

ストライクゾーンの定義とは 見逃しでも「振り」逃げできる

 

 打者は、バットを球に当てられずに空振りするか、ストライクゾーンの中に飛んできたボールを見送ると「ストライク」となる。ストライクが三つ重なると「三振」となり、1アウトだ。では、ストライクゾーンとはいったいどこを言うのか。ストライクゾーンは、原則として高さは打者の膝から胸にかけて、幅はホームベースの横幅を基準に設定される。ストライクゾーンをボールの一部が通過しただけでストライクであることに注意。

 

 「三振」でもすぐにはアウトが宣告されない場合もある。捕手が三つ目のストライクの球をノーバウンドで捕球できなかった場合、打者は即座にアウトとはならず「振り逃げ」で出塁できる可能性がある。捕手の送球前に、打者が一塁に到達すれば出塁成功。アウトを免れる。ただし、ノーアウトまたは1アウトで走者が一塁にいる場合、振り逃げはできない。振り逃げができる場面だと気付かずに打席周辺の土のエリアから離れた場合も振り逃げはできなくなる。

 

フェアかファウルか 打球によって基準が変わる

 

 打者は守備が取れないところに打球を飛ばせば「ヒット」となり出塁できるが、フェア地域の外に飛ばすと「ファウル」としてストライクが宣告される。ただし、2ストライク後のファウルは原則としてストライクとはならない。

 

 フェア、ファウルの判別基準は、打球の1バウンド目の場所によって変わる。外野でバウンドすればその場所がフェア地域か否かにより判断できるが、内野でバウンドした場合は塁が基準になる。内野で止まった場合は止まった場所を見る。上から見てボールがフェア地域に重なっていればフェアだ。

 

(図1)バウンドする球のフェア・ファウルの判定、一塁・三塁のベースが基準(図は『公認野球規則 2022 Official Baseball Rules』を基に東京大学新聞社が作成)

 

アウトの道筋、意外に多い

 

 アウトの取り方は、三振以外にも、飛球をノーバウンドで直接捕球する、球を持ったまま走者より前に塁を踏む、あるいは走者の体に触れるなどさまざまある。

 

 難しいのは、飛球の捕球において落球したかどうかの判断だ。球を落としても、それが「送球動作に移ってから」と判断されれば捕球が認められ、打者はアウトになる。一方、球を一度グラブなどに入れても、それと「同時、あるいはその直後に」ほかの野手やフェンスにぶつかったり倒れたりして球を落とした場合、捕球は認められない。

 

 飛球の捕球前にアウトが宣告される場面もある。その一つにインフィールドフライがある。特定の場面で、フェア地域に捕球が容易な内野フライが上がった場合、審判員の宣告により捕球前に打者はアウトになる。同様のルールに故意落球があるが、両者ともに一つの打球で二つのアウトを取るダブルプレーが予期せぬ形で起こらないためのものだ。

 

(表1)インフィールドフライと故意落球の詳細(表は『公認野球規則 2022 Official Baseball Rules』を基に東京大学新聞社が作成)

 

 危険行為もその場でアウトが宣告される。例えば、走者が本塁で捕手に体当たりしたり、二塁でダブルプレー阻止のために野手の膝や腕めがけて足を上げて滑り込んだりした場合である。

 

野球ファンでも油断禁物 WBCはNPBとは違う

 

 以上が基本的な野球のルールだが、WBCでは日本のプロ野球(NPB)には見られないルールもある。一つが球数制限だ。1試合当たりの投手の投球数が、原則として1次ラウンドでは65球以内、準々決勝は80球以内、準決勝は95球以内と規定されている。登板間隔の規定などもある。

 

 同じルールでも、日米で運用が異なるためにWBCでNPBと違う運用がなされる可能性があるものもある。例えば、本塁で選手同士が接触してけがにつながるのを防ぐ目的で設けられている「コリジョンルール」。日本の方が捕手の走路妨害に対して厳しい基準を課す運用をしており、WBCでは裁定に違和感を持つ場面があるかもしれない。

 

(表2)WBCのルール(表はMLB公式サイトと”OFFICIAL BASEBALL RULES
2021 Edition”を基に東京大学新聞社が作成)

 

【記事修正】2023年9月13日10時5分 (図1)を削除し、本文中に説明を加えました。

 

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