硬式野球部(東京六大学野球)は9月16、17日に早稲田大学とリーグ戦を戦い、1回戦は0―6、2回戦は6―2で敗北した。1回戦は相手中軸に2打席連続の本塁打を浴び、2回戦は逆転弾で試合の主導権を失うなど一発に沈んだ試合が続いた。(取材・五十嵐崇人、新内智之)
1回戦 同じ相手に手痛い2発
東大|000000000|0
早大|00020202X|6
東大の先発は先週の明治大学戦一回戦でも好投を見せた右腕・松岡由機(経・4年)。三回まで3安打無失点に抑えた。四回裏、先頭打者を四球で出塁させると、迎えた早大5番・吉納翼の打球はライトスタンドへ一直線。本塁打で先制の2点を奪われた。さらに六回裏、一死二塁で迎えたのはまたも吉納。今度はバックスクリーン上部まで飛ばされ、本塁打で再び2点を失った。
東大打線は1番・酒井捷(文Ⅱ・2年)が好調。東大の全3安打のうち2つは酒井で、一回表と六回表にそれぞれ二塁打を放つ。昨年から東大が苦手とする相手先発・加藤から本塁打を放った春に続き、「加藤キラー」ぶりを発揮するが、早大の守備陣を前に得点に結びつけることができない。
4点差で食い下がりたい東大は、二番手・三田村優希(工・4年)が無失点で七回裏を抑える。八回裏には右腕・鈴木太陽(経・3年)が登板するが、安打や死球で一死二、三塁とされると前進守備の内野を越される適時打でダメ押しの2失点。一矢報いたい九回表の攻撃も、東大は三者凡退で完封負け。2本の本塁打が痛い試合だった。
2回戦 継投直後に暗転
早大|000102102|6
東大|101000000|2
この日の東大は打線が序盤からつながった。初回、先頭の酒井の二塁打で演出した好機を犠打で拡大すると、別府洸太朗(育・4年)がしっかり外野に飛球を運び先制。3回は二死から四球の別府が盗塁を決めて得点圏に進むと、このカードから4番に座った大井温登(育・4年)が外角の球にちょこんと合わせてセンター前へ。そつのない攻撃に相手先発の表情には動揺の色が見え始める。
先週に続き先発となった平田康二郎(育・3年)も絶好調。3番・熊田、4番・印出を落ちる変化球で連続三振に取るなど低めを丁寧に突き、四回途中まで安打を許さない投球で前半は東大リードで折り返した。
六回一死、前の回から外野に打球を飛ばされるようになった平田に代わり鈴木健(育・4年)がマウンドに。先頭の吉納には四球。この日2盗塁の吉納の足と打者の両方を警戒しなければならない難しい場面で、外角を狙った1球がど真ん中に入ってしまった。鋭い角度で上がった打球は勢いそのままレフトスタンドへ。痛恨の一発で逆転を許すと七回にもソロ本塁打を打たれ、2点を追う形になった。
苦境に立たされても下を向かない東大ベンチ。活気あふれる声で選手を鼓舞し続ける彼らに応える絶好のチャンスは八回にやってきた。先頭の別府が四球で出ると大井が一二塁間をゴロで鋭く破る。ここまでの試合で失敗も目立った犠打を初球で決めて一死二、三塁。試合の行方を左右する場面に、最高潮のボルテージで淡青色のメガホンを振り回す応援席の熱気が内野席にも伝播し、手拍子の音がみるみる大きくなっていく。ここで打席には6番・和田泰晟(農・4年)。クリーンアップを張ることもある実力者が食らいついた打球は右翼手の右前方へ。落ちれば同点もあり得る場面だが、直接捕球され走者は動けず。次打者も三振で得点機を逸すると、九回表に2点を失い万事休す。勝利への布石を確実に打ち続けながらも前日に続き一発の怖さを思い知らされる展開となった。