硬式野球部(東京六大学野球)は9月19日、2002年秋以来の勝ち点を懸けて慶應義塾大学との3回戦を戦ったが、10―13で敗れた。1回戦で完投勝利を挙げた宮台康平投手(法・4年)が先発するも四回途中8失点を喫し、後続の投手も大量失点。打線は終盤の猛烈な追い上げで03年秋以来の2桁得点を挙げたが、あと一歩及ばなかった。東大は10月1・2日に早稲田大学と戦う。
東大|100000504|10
慶大|00350023 ×|13
勝ち点の懸かった試合で、先制点を挙げたのは東大だった。初回、先頭が四球で出ると犠打と中前打で1死一三塁に。続く田口耕蔵選手(育・4年)の打球は三塁手正面への当たりとなるが田口選手が必死の走塁を見せ、併殺崩れの間に1点を先制する。
東大の先発は、16日の1回戦で完投勝利を挙げた宮台投手。初回、二回は走者を出しながらも無失点で切り抜けるが三回に捕まる。2死走者なしから四球と安打で一二塁とされると、春にも本塁打を打たれている相手4番・岩見雅紀選手(4年)にレフトスタンドへの逆転3点本塁打を浴びる。四回には、相手下位打線の3連打で追加点を許す。さらに相手のスクイズを宮台投手自身が本塁悪送球。相手3番に2点適時打を許し6点差となったところで、宮台投手は降板する。
前半で大差がつく展開となるも、東大打線は終盤に追い上げを見せる。七回、1死一二塁から小林大雅投手(文Ⅱ・2年)がバントを三塁線へうまく転がすと、相手投手の悪送球を誘い二塁走者が生還。さらに1回戦で自身初打点を記録した辻居新平選手(文Ⅰ・2年)も中前適時打で続く。なおも2死二三塁で、打席には3番・楠田創選手(育・4年)。代わったばかりの相手投手の初球を振り抜くと、打球はそのまま左翼スタンドへ飛び込む3点本塁打となる。結局この回一挙5点を返し、一波乱を予感させる。
しかし直後の守りで、2イニング目に入った小林投手が捉えられる。右中間への二塁打と犠打で1死三塁にされると、相手8番の当たりはライトへの犠飛に。さらに2死走者なしから単打と長打でもう1点を加えられる。続く八回にも代わった投手が3点を奪われ、再び7点差に突き放されてしまう。
万事休すと思われたが、東大打線は九回にも驚異的な粘りを見せる。1死から宮本直輝投手(文Ⅲ・2年)が二塁打で口火を切ると、七回に適時打を放った辻居選手がレフトへ自身初の本塁打を放ち2点を返す。2連打でなおも1死一三塁として、田口選手の右犠飛でもう1点。さらに、2死一二塁から山下朋広選手(文Ⅱ・2年)の左直を相手左翼手がまさかの捕球ミス。これで3点差となり奇跡の大逆転劇を予感させたが、東大の反撃もここまで。次打者が見逃し三振に倒れ、勝ち点に一歩及ばなかった。
(文・関根隆朗)
◇4安打・3打点・1本塁打と大活躍した楠田選手の話
――七回の本塁打は
感触は微妙だったが入ってくれて良かった。イケイケだったので、後輩の作った好機で走者を返すことだけ考えていた。初球から積極的に振っていったのが、結果につながった。試合前から目の前の打席に集中しようとチーム全体で話していて、七回・九回はその意識がつながっての反撃ができた。
――10点取っても勝てなかった
悔しいという気持ちしかない。自分たちの中では、本当に勝ち点を取れると思っていた。どうしたら勝ち点を取れるのか分からないが、次の早大戦まで2週間あるのでゆっくり考えたい。勝ち点の壁の高さを感じる試合だった。
――自身としては今日4安打です
自分が打たないと始まらない。1打席1打席自分の仕事をするだけです。
――打線の調子はチームとして上がってきている感じですか
開幕からチームとして「狙い球を絞って自分のスイングをし、持てる力を1球にぶつける」ことを意識している。特に下級生がこれをきっちり実践できている。
◇自身初本塁打を記録した辻居選手の話
――今日の感想は
打ててうれしいが負けは負けなので、次は勝ちにつながるバッティングをしたい。
――ホームランを打ったときの感触は
打った瞬間行ったと思った。打ったのは真ん中高めのストレート。狙っていた球種だったので良い振りができた。
――次戦に向けて抱負を
山田(大成主将(育・4年))さんが抜けている中、楠田さんがチームをまとめようとしてくれている。同じ外野手である楠田さんをはじめ、お世話になっている4年の先輩方の期待に応えたい。
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