春季リーグでは2004年春以来の3勝を挙げ、波に乗っている東大硬式野球部。オープン戦では打線が好調で、2002年秋以来14年ぶりの勝ち点獲得に向け期待は高まる。チームを率いる浜田一志監督に、秋季リーグへの意気込みを聞いた。
(取材・文 竹内暉英)
――現在のチーム状況は
投手陣が勝ち点を取れるまでに安定してはいない。目標まで到達していないというのが現状です。野球っていうのは投手が9割のスポーツですから。
――投手陣にはけが人もいるようですが、どのようにリーグ戦に向かうのでしょうか
はい、状態は良くないですね。宮台(康平投手・法3年)は開幕にぶっつけ本番です。他の投手は、やはり制球力ですね。けがとかうんぬんという状態以前に、普通に制球力を磨いてもらわないと。有坂(望投手・文Ⅲ2年)が投手陣の中では安定していて、先発は宮台と有坂あたりになるでしょうね。
――オープン戦では1年生投手も起用していました
小林(大雅投手・文Ⅱ1年)はリーグ戦でも使うことになると思います。全体的に、長いイニングを投げられるほどの体力は付いていないので、そこは焦らずじっくりやります。宮台が1年の時と同様、無理はさせません。
――野手の構想は
キャッチャーが喜入(友浩選手・育4年)、ファーストが田口(耕蔵選手・育3年)、セカンドが桐生(祥汰選手・経4年)と水島(拓郎選手・工3年)の争い、サードが山本克志(主将・工4年)、ショートが山田(大成選手・育3年)で、レフトが楠田(創選手・育3年)、田中(朗士選手・農4年)、杉本(幹太選手・理Ⅱ2年)あたりの争い、センターが宇佐美(舜也選手・文Ⅰ2年)と下雅意(拓哉選手・農4年)の争い、ライトが山本修(選手・文Ⅰ2年)、こんな感じです。(春はベストナインに輝いた)桐生でもレギュラー確実でないほど、うちも選手層が厚くなったと考えてもらって良いと思います。セカンドはバッティングより守備重視ですね。外野は、バッティングが良かった下雅意をセンターにコンバートしました。リーグ戦では、例えば宮台が投げるときはきちんと守って勝機を狙うとなれば外野手だって打力より守備力重視のスタメンになるでしょうし、二番手のピッチャーで5、6点取られるんじゃないかというときは打力重視のスタメンでいくと、使い分けをしようと思っています。
――クリーンアップが強力で、打線に厚みがありますね
クリーンアップは、3番に山田、4番が田口で、5番に山本克志を入れようと考えていますね。山本克志は、春は2番を打たせていましたけど、下雅意が1番センターで行ければね。後は楠田も5番の可能性はあります。打力は良くなったと思いますが、良くなったところで2割が3割になるだけですから。3割しか成功しないのが打撃、9割成功するのが守備です。僕は采配で確率が高い方を選んでいくので、守備重視の野球が基本になります。エラーを減らして自滅しないというのは変わらない方針です。そうやって彼らも成長してきたのでね。
――春は田口選手の活躍が目立ちました
田口は相手投手が警戒するバッターになりましたね。攻め方は厳しくなると思います。フォアボールでもいいやくらいの攻め方をされるので、そこで焦って手を出して三振していると、結果が出ない。きちっと見極めて、自分の打てる球を呼び込むまで我慢できれば、春と同じように活躍できると思います。
――オープン戦で好調の野手と比べ、投手陣はあまり良くないようです。課題はどこにあるのでしょうか
一つは、ある程度人数がそろってくると、「俺がやらなきゃ」じゃなくて「誰かがやるだろう」になってしまうことですね。もう一つは、点を取られ始めると一気に3点4点取られる傾向にある。勝負事っていうのは、始まる前にある程度決まっているんですよ。「俺が抑えてやる」と考えるか、「打たれたらどうしよう」と考えるか。心理的なものっていうのは、パフォーマンスに出るんですね。そういうところが弱いんじゃないかと思います。
――勝ち点を取るために必要なことは
4、5点取れる試合というのは、10試合で1試合か2試合ということになります。その中で勝つには、1試合を2、3点に抑える必要がある。トータルで勝ち点を取って最下位を脱出するという目標を目指す上では、打線ではなく投手が鍵だと考えています。
――最後に秋季リーグへの抱負をお願いします
秋の目標は、勝ち点を取って最下位脱出です。そのためにチームで牛一頭食って筋肉付けましたよ。後は選手が力を発揮してくれれば勝てるはずです。
浜田 一志(はまだ・かずし)さん(硬式野球部監督)
89年工学系研究科修士課程修了。修了後は新日本鉄鉄(現・新日鉄住金)に就職し、94年に独立して学習塾Ai西武学院を開業。13年に硬式野球部監督に就任し、午前中は「監督」として、夜は「塾長」として活躍している。