東大は10月1日、本郷キャンパスの東京大学大講堂(安田講堂)で2024年度東京大学秋季入学式を行った。式はオンラインで同時中継された。今秋には学部生36人、大学院生809人が入学する。
式典は英語で執り行われ、藤井輝夫総長と大越慎一・理学系研究科長がそれぞれ式辞を述べた。入学式総代として呉雨晨(うしん)さん(情報理工学系・博士)、徐志岸さん(養)が順に宣誓した。
藤井総長は持続可能な社会の実現に向け、自分にできることを考え行動することの重要性に言及。東大も開発に関わった小型月探査機SLIM(Smart Lander for Investigating Moon)や今年4月に完成した東大アタカマ天文台の例をあげ、専門の異なる仲間を作ることを、さらにグローバルコモンズ(地球規模で人類が共有する資産・空間)の維持と創造に貢献する意識を持つことを求めた。
大越教授は自身が所属する研究室を立ち上げ「うまみ」を発見したことで有名な池田菊苗について語った。実業家・鈴木三郎助と共に「味の素」を開発した例や、留学先のロンドンで同じアパートに暮らした夏目漱石と交流し「吾輩は猫である」に見られる客観的叙述に影響を与えた例を紹介。学生がそれぞれの専門性を磨き、さまざまな分野の人々と出会うことで、新しい発見へとつながる洞察を得てほしいと述べた。