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2020年12月12日

有馬朗人元総長が死去 大学院重点化や法人化を推進

本紙のインタビューに答える有馬朗人名誉教授(2015年撮影)

 

 元東大総長で、物理学者・俳人の有馬朗人名誉教授が7日までに、90歳で亡くなった。1989〜93年に東大総長を務め、理化学研究所理事長、文部大臣なども歴任した。

 有馬名誉教授は大阪府出身。53年に東大理学部物理学科を卒業し、原子核研究所や米アルゴンヌ国立研究所などで原子核の構造を研究した。原子核表面の運動を考慮し原子の磁気モーメントを説明する「有馬・堀江効果」の発見などで知られる。75年からは東大理学部の教授を務めた。

 総長在任時は、大学院重点化構想の推進や、大学の自己点検・外部評価の導入を実行。91年の、一般教育と専門教育の区別を廃止する大学設置基準大綱化に際しては、教養教育の重要性を訴え、教養学部の教員数を拡充した。

 東大退職後、理化学研究所理事長などを経て、98年に当時の橋本龍太郎首相に請われ参院選に出馬、当選した。文部相と科学技術庁長官を兼任し、文部科学省への統合準備をする傍ら、スーパーサイエンスハイスクールの設置や国立大学の法人化にも携わった。

 俳人としても知られ、句誌『天為』を主宰していた他、2018年には句集『黙示』で、俳句界で大きな権威をもつ蛇笏賞を受賞した。俳句をユネスコの無形文化遺産に登録を目指す活動も行っていた。

 訃報を受け、五神真総長は「一ヵ月ほど前にお会いしたときは、たいへんお元気でおられただけに、驚きにことばを失っております」と、常行真司物理学専攻長・学科長は「日本の物理学を築いた巨星が、また一つ失われました」とコメントした。

 

【故・有馬元総長インタビュー記事(2015年8月10日公開)】

「大学自身で決断せよ」有馬朗人元総長インタビュー

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