アメリカンフットボール部(関東1部上位TOP8Aブロック)は9月3日、中央大学と秋季リーグ開幕戦を戦い、21-17で勝利した。最終クオーター(Q)で3回リードが入れ替わる劇的なシーソーゲームを制した東大は次戦、強豪早稲田大学に挑む。(取材・清水央太郎)
東大|0 7 0 14|21
中大|0 7 3 7|17
関東学生連盟主催試合としては27年ぶりに東京ドームでの開催となった開幕カード。先攻の東大は、巧みな試合運びを見せる。
今年のチームの持ち味は複数人のランニングバックによる多彩なランプレー。相手守備陣の隙間を縫うようにグラウンドを駆け抜ける攻撃陣が、時計の針を進めつつ中大を翻弄(ほんろう)し、相手に攻撃権を与えずじわじわと攻め込んでいく。守備陣も、前半は高い身体能力を生かした相手のパスプレーに苦しむが、徐々に対応。7-10と競った展開で第3Qを終えた。
迎えた最終第4Q、東大は敵陣エンドゾーンまで残り6ヤード地点に迫ると、この日温め続けてきたQB井藤龍哉(法・4年)からWR宮野航綺(工・4年)へのタッチダウン(TD)パスがさく裂。試合時間残り5分で4点のリードを奪うことに成功した。
しかし、中大も簡単には引き下がらない。ロングパスを通された東大は、守備陣の奮闘も虚しくTDを奪われ、再度逆転を許してしまった。残り時間は約2分半。自陣25ヤード地点から 、全てを賭けたラストドライブが幕を開ける。
この絶体絶命の局面でチームを救うビッグプレーが飛び出す。WR光吉駿之介(理I・2年)がパスを受けると、相手守備陣が交錯している間に、50ヤードに迫るロングゲインで会場を沸かせた。その後もランプレーで攻撃を続けていき、最後はQB曽原健翔(工・3年)が気迫のTD。時計の針は残り15秒を指していた。
その後リードを守り切った東大は、見事逆転勝利。何度も両チームを弄んだ(もてあそんだ)勝利の女神は、最後の最後で東大に微笑んだ。
屋敷主将のコメント
「うれしい」以外に今の気持ちを表現する言葉が見つかりません。去年の悔しいリーグ戦全敗を経て「何があっても戦い抜く」チームを目指して練習してきました。今日の勝利で、この1年間積み上げてきたものが報われた気がします。次の早大戦はタフな展開になると思いますが、自分たちのいつものプレーで相手に挑みたいです。
森HCのコメント
選手たちが緊迫した局面でも焦らずに練習通りのプレーをしつつ、時に予想を超えるプレーを見せてくれました。大差が付かないよう、競った展開を続けることを意識して試合をコントロールしていましたし、パスを通されても浮き足立たず耐え切ってくれた守備陣は素晴らしかった。これからも一試合ずつ、その時出せるベストを出して臨んでいきたいと思います。