アメリカンフットボール部(関東学生1部リーグ)は5月5日、オープン戦の第2戦を明治大学(関東学生1部リーグ)と富士通スタジアム川崎で戦い、16―13で勝利した。1部下位リーグ「BIG8」所属の東大は、前半に2度のタッチダウン(TD)で逆転すると後半の明大の猛攻を耐え抜き、1部上位リーグ「TOP8」所属の強豪相手に競り勝った。オープン戦第3戦は15日午後2時半から、東京工業大学(関東学生2部リーグ)と戦う。
東大 6 7 3 0|16
明大 7 0 0 6|13
東大にとってオープン戦一つ目の山となる、強豪明大との一戦。先に攻撃権を得た明大は、ランとパスを交えて次々と攻撃権を更新する。最後は残り21ヤードからのパスを決めあっさり先制。しかし東大は直後の攻撃で、格上相手に一歩も引かずラン中心に少しずつ前進。敵陣44ヤードから野金将行選手(育・3年)に16ヤードのパスを通して攻撃権を更新すると、直後の攻撃でまたも野金選手がパスを捕り、タックルを食らいながらも敵陣へ倒れこんでTDを決める。
次の明大の攻撃を止めて迎えた自陣20ヤードからの攻撃で、東大は相手の反則も絡めて敵陣24ヤードに迫る。この攻撃は止められキックを選択するが、再び明大に反則があり攻撃権を更新。敵陣7ヤードまで進んだところで、キックを選択したかに見せかけて横を走る岸本容司郎選手(法・4年)にボールを渡す。岸本選手は左側に走り込んでTDを奪い、逆転。続く明大の攻撃では鎌形勇輝選手(農・3年)がインターセプトを決め敵陣21ヤードで攻撃権を手にするが、相手にもインターセプトを許し絶好機で得点を逃す。前半はそのまま終わり、東大の6点リードで折り返す。
後半最初の攻撃では追い込まれてからのパスがつながり、時間をかけながらも敵陣に迫る。残り21ヤードとしたところで鎌形選手がフィールドゴール(FG)を決め、9点差に。その後は猛攻を仕掛ける明大オフェンスに冷静に対応し、攻撃権の更新を許さない。ラン中心になった東大は、攻撃ではほとんど前進ができないものの相手に攻撃権を譲るパントで関野良樹選手(農・4年)のキックがさえ、主導権を渡さないまま残り2分で明大の攻撃を迎える。
自陣10ヤードで攻撃権を手にした明大は、逆転を期してロングパスを連発。これが次々とつながり、わずか30秒でTDを決められてしまう。残り1分32秒となり、明大は最後の望みをかけてボール奪取を狙うオンサイドキックを選択する。観客がかたずをのんで見守る中、蹴り出されたボールは東大の野金選手の目の前に。ボールを捕って攻撃権を手にした東大が時間を使い切り、勝利を収めた。
(文・竹内暉英)
◇竹之下健三監督インタビュー
――今日の試合を振り返って
正直言って、大差で負けるんじゃないかと思っていました。というのも明大は2週間前、関西学生1部リーグで昨年3位だった関西大学に51―0で完勝してますから。それからすると、完敗して妥当というところです。(東大は)ラインが昨年から総取っ換えということでしたが、試合未経験者がよく頑張ってくれたのが勝因ですね。それから第1Q、先制パンチをうまく利かせられて、それで頑張れたんじゃないかと思います。いわゆるイージーミスもなくてね、この辺は当たり前といえば当たり前だけど、格上相手ですからね、自信を持ってやってくれたというのは収穫ですね。実力以上の結果が出たかな。
――試合を通じて良かった点は
勝った時というのはみんな丸なんですけど、クオーターバックの荒川(=荒川信一選手(文・4年))、彼が落ち着いてプレーをしてくれたと。ランニングバックもラインもよく頑張った。それからレシーバー陣も良かったですね。パスをぽろっと落としたりすると試合の流れというのは一気に変わりますから、ポイントポイントで攻撃権を取ってくれたのが大きかったです。
――後半は苦しい試合でした
明大の方も当然ねじを巻き直してきましたしね。とはいえディフェンスが頑張ってくれたので、得点を許さずに後半もしぶとくいってくれたと。最後に残り90ヤードから3本連続でパスを投げられてTDを食らったところが大きな課題ですね。だけどいい課題が残ったので良かったんじゃないですか。あれで逆転負けとなると悔しさが強くなっちゃうんだけど、まだ勝っていたので。相手がキックも外してくれてFGでも同点の3点差になって、そういう意味では最後まで流れを渡さずに来たと。
――後半で攻撃がつながらない中、パントで盛り返していたが
パントはもう良かったですね。関野のパントは二重丸、いや三重丸ですよ。向こうもラッシュかけてくるところをよく蹴り切った。パントは大きかったですよ。だから今日のMVPといったら関野かもしれませんね。関野であり、荒川であり、レシーバー陣であり、QBサックも最小限に抑えたラインであり。勝った時は全員が良かったということですね。
――今後必要なことは
はっきりしてきた課題をつぶすには練習で克服するしかないです。選手一人一人が足りないことを考えて、つぶしていくしかない。考えて、練習して、覚悟を持って試合をやると。平たく言ったらそれしかないんですよ。戦場に臨むときにへっぴり腰ではだめです。そういう意味では、今日はうまく臨めたと評価はしていますけど、我々の目標はTOP8に上がるということなんで。それを果たすためにはもっともっと練習に取り組まないといけないですね。
――次の試合への意気込みを
東工大戦はしっかり戦いますが、その後の京都大学戦・中央大学戦が春の目玉になるので、いいゲームをして勝ちたい。あくまで本番は秋ですけれど、勝つというのはやっぱりいい薬なので、勝って秋のリーグ戦に結び付けていきたいです。
◇加藤快主将(農・4年)インタビュー
――試合を振り返って
全体で言うと、大きなミスが出なくて相手に流れを渡さなかったのが勝因と言えば勝因なのかなと思います。後半はオフェンスに関してはやられっぱなしで全然だめだったので、そこが大きな課題ですね。ラインは序盤はいけていたんですが、相手が後半対応してきたところで力勝負に負けていたので、もっともっと鍛え直していく必要があります。
――初戦の学習院大戦の反省はどのように生かしたか
学習院大戦ではイージーミスが出ていたけれど、アメフトはそういうミスを最小限にしないと絶対に勝てないので、基本に立ち戻って練習しました。
――新チームの雰囲気は
フレッシュなメンツが多く、今日初めて試合に出てきた人も多い。怖いもの知らずで思い切りプレーできたことでいい結果が出たのかもしれません。
――TOP8昇格のために必要なことは
もっと一人一人がアメフトに向き合って本気で取り組まないといけない。昨年の主力が抜け、フィジカルに重点を置いて練習してきました。春から継続してきたフィジカルアップを夏まで続け、フィジカルで勝てるようにしたいです。