東大は、全学構成員に生成AIチャットサービスの実験的な提供を行うと発表した。対象はUTokyo Accountを持つ東大の全構成員。情報セキュリティ教育の受講とUTokyo Accountの多要素認証(アクセス権限の認証のために複数の認証要素を用いること)の有効化が必須となる。利用は東京大学での教育・研究活動を目的としたものに限られる。
本サービスではChatbot UIが提供され、OpenAI社のAPIをウェブ上のチャット画面から利用できる。モデルはGPT-3.5とGPT-4から選択できるが、API(ソフトウェアが他のソフトウェアの機能を利用するためのインターフェースのこと)の直接利用はできず、単純なチャット機能のみ利用できる。OpenAI社の課金に用いられる「トークン」に基づいて利用上限が定められる。利用者に個別の費用負担が生じることはない。
今回の提供は実験的で、継続的な提供は未定。申請はuteleconのサイトより行えるが、今年10月20日には申請者多数のため一時申請受付を停止。現在は新規申請が可能になっているが、受け入れは段階的に行われる予定。
今年春、東大副学長の太田邦史教授は生成AIについての東大としての見解を発表。一律に禁止はせず、特性を理解した上での適切な活用および利用可能性の探求に努めるよう促した。生成AIの登場で大きく変化する社会情勢を踏まえ、「大規模言語モデルに『創発』(能力が突然飛躍的に向上すること)が起きた原因を考察したり、生成系AIがもたらすさまざまな社会の変化を先取りし、積極的に良い利用法や新技術、新しい法制度や社会・経済システムなどを見出していくべき」と呼び掛けている。