ウィリアム・コールドレイク特任教授(情報学環)は6月6~10日、論文の学術的な意義や新たな発見などをまとめる「アブストラクト」の英語での書き方を指導する集中講義を開講している。「非英語圏の研究者に特化したハーバード式メソッド」と題し、自身の論文の強みを効果的に伝える方法を伝授するという。開講に先立って2日には授業の説明会が本郷キャンパスで開かれ、博士課程に在籍する大学院生など20人以上の学生が参加した。
この授業では、学生がコールドレイク特任教授の用意したアブストラクトのひな型を読み、それに沿って自身の研究の要旨をまとめていく。コールドレイク特任教授が作成したこのひな型は、論文のタイトルや研究の意義、最終的な成果など8項目に分かれており、その項目を埋めていくことで自分の研究独自の強みが自然に表現できるよう工夫されているという。「ひな型で聞いているのは『あなたの研究はどのような価値があるのか、以前の研究とどこが違うのか』という単純なこと。このひな型に沿って研究を見つめ直すことで、今まで気付かなかった自分の研究の核を見つけることができるのです」とコールドレイク特任教授は自信を見せる。
違う研究科同士の学生のディスカッションで授業が進行するのも特徴だ。全研究科から学生が参加するため、専門外の学生にも自身の研究内容が理解できるよう説明しなければならない。「同じ研究科同士なら難しい説明をして威張っていればいいですよね(笑)? しかし全く基礎知識のない人に説明し、質問を受けることで力が付くのです」とコールドレイク特任教授はいたずらっぽく言う。論旨のまとめやディスカッションは全て日本語で行うため、英語の苦手な学生も気楽に参加できる。
近年は大学院入試や研究発表、就職など幅広い場でアブストラクトが活用されており、この授業もいずれは全学的に実施したいというコールドレイク特任教授。「国際的研究者になるために不可欠の技術を、一緒に学びましょう」と参加を呼び掛けた。この授業は今年のAセメスターにも開講される。
<授業の公式サイト>