11月24〜26日に開催された第74回駒場祭。4年ぶりに入構制限が撤廃され、新型コロナ流行以前と変わらないにぎわいを見せた。駒場祭委員会は、会場の駒場Iキャンパスへの来場客は3日間で約81,000人と推定している。駒場祭の様子と今年ならではの思いを、写真とともに振り返る。(取材・赤津郁海、佐々ひなた、渡邊詩恵奈 構成・佐々ひなた)
飲食企画
語学のクラスやサークルなどが多く模擬店を連ねる矢内原通り。ホットドッグのコスプレが目を引き付けるのはPEAK(教養学部英語コース)の学生が企画する「PEAK’s Kitchen」だ。コロナ禍の間出店はしておらず、また母国で学園祭の経験がない学生も多いことから、出店には苦労したという。しかしアメリカの食べ物であるホットドッグを日本風にアレンジした「お好み焼きドック」を販売するなど、多様な学生が集うPEAKらしさを出したと語る。
黄金色に色付く銀杏通りには、今年ならではの事情を持つ団体が出展していた。東大法科大学院の3年生が行う「六法クレープ」だ。商品名を「刑法クレープ」にするなど法律らしさがちらりと見える仕掛けで、参加者は全員、今年度に司法試験を受験したそうだ。「今年から制度が変わり、ロースクールを卒業する前、つまり最終学年の時点で司法試験を受けられるようになりました。だからこそ試験が終わった今、みんなで駒場祭に参加できています」。大きな試験を乗り越え、駒場祭で青春を味わっているという。
屋内企画
普段は語学のリスニング教材が聞こえる1号館も、駒場祭期間は学生と来場客の声が響く場となる。その中できらびやかな展示を行うのは東大服飾団体MissCatwalkの「創作衣装ファッションショー」。コロナ禍ではオンラインで参加していたが、今年は対面で展示を行ったほか、新作衣装を含めた8着でファッションショーを行った。インカレサークルのため意見をまとめるのに苦労したが、駒場祭を目標に創作活動にいそしんできたという。「通りすがりのお客様が『きれい』と仰ってくださったのがうれしかったです」
いちょうステージのにぎわいとは一味違い、静かながら各企画の工夫がきらりと光るのが12号館だ。Tottoko Gender Movementの「刑法改正! とっとこ学ぶ性的同意」では、今年7月に改正となった性犯罪に関する法律を分かりやすく学ぶことができる。性犯罪について参加者と対話する上で、グラウンドルール(全員が不快な思いをせず対話に参加できるようにするために決める最低限の規範)を設定するなど、セーファースペース作りに苦労したという。一人一人はハムスターのように弱くとも、皆で力を合わせれば社会を変えられるという思いから、企画名やスタッフが付けるバッジは「とっとこハム太郎」をモチーフにしたそうだ。性別や年齢を問わずさまざまな人が来場し、多様な人が性犯罪の問題に興味を持っている社会になったことを実感させる企画だった。
屋外パフォーマンス企画
小春日和だった駒場祭初日に正門広場で行われたのは、東大運動会応援部の駒場祭パフォーマンス。リーダーが第74回駒場祭のテーマ「あそびがみ」にも触れ熱気あふれるエールをしたほか、吹奏楽団は東大応援歌「ただひとつ」を演奏。観客も巻き込んだ圧巻のパフォーマンスが駒場祭初日を彩った。
コロナ禍の間「不要不急」とされながらも、形を変えながら行われてきた駒場祭。入構制限が撤廃され本来のにぎわいが戻った第74回駒場祭が無事に開催されたことは、多くの学生にとって格別の喜びだっただろう。