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2021年9月11日

「先延ばしはリスク否定できない」駒場祭、8月中にオンライン開催発表の背景は

 

 駒場祭を運営する第72期駒場祭委員会は8月11日、本年度の駒場祭をオンラインで開催すると発表した。開催期間は11月21〜23日で、2年連続のオンライン開催となった。9月19、20日にオンラインで開催される五月祭に続いてのオンライン開催となるが、決定までにはどのような議論が行われたのか。東京大学新聞社は駒場祭委員会に書面で取材を申し込み、9月4日に回答を得た。駒場祭委員会の回答を基に、オンライン開催決定までの過程をまとめる。(取材・中野快紀)

 

駒場Ⅰキャンパスで開催された2019年度の駒場祭(撮影・東京大学新聞社)

 

「ハイブリッドが認められる可能性は低い」

 

 駒場祭の運営を担う駒場祭委員会が本年度の駒場祭開催形態を公式Twitterなどで発表したのは8月11日。委員会によると7日に開催された委員会総会で最終的な判断が下され、10日の参加団体への告知、11日の一般発表に至ったという。発表された開催形態は企画の公開をオンラインのみで行う「オンライン開催」だ。

 

駒場祭のオンライン開催を伝える駒場祭委員会のツイート

 

 一方、当初委員会が目指していたのは、キャンパス内・オンラインの両方で企画の公開を行う「ハイブリッド開催」。会場となる駒場Ⅰキャンパスにおける活動の基準となる「ステージ」に基づいて、来場を認める観客の範囲などを検討していたというが、新型コロナウイルス感染症に対する学内の対応方針を策定する新型コロナウイルス対策タスクフォースからは8月上旬までの時点でハイブリッド開催を認められることはなかった。同タスクフォースが8月上旬までの時点で委員会に示した回答は以下の2点だ。

 

①感染状況を踏まえると、現時点で開催形態を決定する場合、いかなるステージであってもオンライン開催しか認められない。

 

②現時点では開催形態の決定を保留し、開催約2カ月前の9月下旬に決定する場合はハイブリッド開催を認める場合もあるが、オンライン開催となる可能性も十分にある。

 

 委員会は教養学部を通じてこれらの回答を伝えられたというが、最終的には開催形態の決定を保留せず、8月時点でのオンライン開催決定に踏み切った。9月下旬のハイブリッド開催許可に関する明確な指針が示されなかったため、決定を保留しても許可される可能性は低いと判断。また9月下旬にハイブリッド開催が許可されたとしてもその後の感染状況の変化で開催形態を変更せざるを得なくなる可能性が否定できないことなどもあり、駒場祭運営に与えるリスクや企画担当者の負担を考慮した上で、8月時点でのオンライン開催決定を選んだという。この決定について駒場祭委員会の担当者は「(8月上旬時点ではハイブリッド開催を認められないという大学の判断は)大変残念なことであると受け止め」ていると回答。今後も駒場祭における発表の機会の重要性を大学側に説明し、理解や協力を求めていくとしている。

 

五月祭延期との違いは

 

 東大で開催される二つの学園祭である五月祭、駒場祭がそろって2年連続のオンライン開催となった。本年度の五月祭は当初5月のオンライン開催を目指していたが、開催予定日の約1週間前に当初の日程での開催を断念。今回オンライン開催が決定された駒場祭と同様、発表は全てオンラインで行うことが想定されていたが、発表のために学生が集まることによって感染リスクが生じることなどが不安視され、大学側から五月祭常任委員会に対して開催断念が要請された。対して駒場祭開催の議論で論点となったのは来場者の有無についてであり、現時点では学内での企画の実行そのものは認められている。駒場祭委員会が企画担当者に向けて発表した資料によると、企画実行に不可欠な学外の企画構成員や招へい者の入構を認める方向で大学と調整を行うという。パフォーマンスなどを行うステージもキャンパス内に設置する方針だ。

 

学生の反応は 教養学部学生自治会の声

 

 コロナタスクフォースをはじめとする大学当局はワクチン接種が進んだ状況を受け止め、駒場祭委員会と協力し前向きな決定を行うべきでした。このままですとキャンパスでイベントが2年間も行われない状態になり様々な文化や伝統が失われますが、それらはコロナが終わってから容易に作り直せるものではありません。そして、キャンパスでの経験や思い出も満足に得られないまま学生は駒場を去ることになります。

 

 学生活動のかけがえのなさを軽視する当局の姿勢は、先日当会が開示したタスクフォースの議事要旨にも表れています。そこで明らかになったのは、現在に至るまで、学生活動が制限される中で大学主催のイベントが多数開催され続けていることや、学生活動再開に関する具体的な方針の作成がゆるがせにされていることでした。これ以上、学生の声の届かない場所で恣意的かつ非民主的な決定が行われるべきではありません。

 

 学生自治会ではこれからも当局の姿勢を追及し、学生活動の正常化に向け様々な取り組みを行って参ります。(談)

 

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