学術ニュース

2019年11月28日

温帯低気圧の雨量は気温で決定 温暖化に伴う雨量増加を予測

(図)強い海洋性温帯低気圧(上;黒線の周辺)と平均的な海洋性温帯低気圧(下;灰線の周辺)の中心から半径約550㎞で平均した地上気温と雨量の関係。青は現在気候、赤は将来気候。▲は北半球、▼は南半球の温帯低気圧を平均したもの。大きな三角形は25年平均、小さな三角形は1年平均。 研究グループ発表の資料より転載

 

 小玉知央研究員(海洋研究開発機構)、佐藤正樹教授(大気海洋研究所)らは14日、海洋性温帯低気圧による雨量を、地上気温からのみでほぼ正確に予測できると発表した。より高精度な雨量観測を実施できれば地球温暖化が進んだ将来の雨量予測が可能となる。

 

 日本を含む中緯度では、温帯低気圧が多くの雨をもたらす。しかし温帯低気圧の構成要素である前線や対流の空間スケールが小さいことなどから、雨量の予測にはばらつきがあった。

 

 小玉研究員らは世界最高レベルの水平解像度で、現在の気候と、地球温暖化シナリオに基づいた将来の気候のシミュレーションデータを解析。現在の気候では、観測とシミュレーションのデータが一致。将来気候のシミュレーションは、元々雨量が多かった場所で雨量が増えた。現在・将来についてさらに解析すると、海洋性温帯低気圧による雨量を、地上気温からのみでほぼ正確に予測できることが判明。これは現在・将来でも、北半球・南半球でも成立していた。今後は調査範囲の拡大やサンプル数増加の他、短期間に一気に降る雨などの解析に臨む。


この記事は2019年11月26日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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