仁科記念財団は7日、2019年度仁科記念賞の受賞者を発表し、岩佐義宏教授(工学系研究科)が選ばれた。東大からの選出は2年ぶり。12月6日に東京會舘で授賞式が行われる。
岩佐教授は乱れの極めて少ない2次元超伝導体の作製に成功した。電気抵抗がゼロである超伝導体の薄膜作製は量子コンピューターの基盤となる技術だが、従来の薄膜は不純物などによる乱れが大きく、理想的な2次元超伝導体の性質は解明されていなかった。岩佐教授はイオン液体と結晶の界面に乱れの少ない2次元超伝導体が生じる「電界誘起超電導」を発見。さらに、磁場によって超電導の状態と絶縁体の状態を切り替えることにも成功した。
仁科記念財団は、現代物理学の父と呼ばれる仁科芳雄の功績を記念し、1955年に設立された。財団は毎年、原子物理学とその応用分野において優れた業績をあげた研究者に仁科記念賞を授与。本年度は岩佐教授の他、吉田滋教授、石原安野教授(ともに千葉大学)が選ばれた。東大からはこれまで、早野龍五名誉教授や梶田隆章卓越教授(宇宙線研究所)らが受賞している。
この記事は2019年11月19日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。
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