野田浩司准教授(宇宙線研究所)らは、宇宙最大の爆発現象とされるガンマ線バーストを、可視光の千億倍のエネルギーを持つ高エネルギーガンマ線の帯域では初めて観測した。成果は20日付の『ネイチャー』(電子版)に掲載された。
放射線の一種、高エネルギーガンマ線を観測対象とする光学望遠鏡にチェレンコフ望遠鏡がある。しかしガンマ線バーストは突発的に現れる上エネルギー放射が1秒~数分しか続かず、視野が狭いチェレンコフ望遠鏡では観測困難だった。
今年1月、カナリア諸島のチェレンコフ望遠鏡が、衛星の情報を基に強い放射線の発生源を捉えた。結果、高エネルギーガンマ線の光子が10秒間に200~300個の高頻度で観測された。エネルギーの最高値は可視光の1兆倍で、より高いエネルギーが放たれた可能性もある。従来想定された放射メカニズムでは、よりエネルギーが低いガンマ線やX線の放射しか説明できず、未解明の放射メカニズムの存在が示唆される。
他の望遠鏡の観測結果から、この放射線は45億光年離れた星が燃え尽きてブラックホールになる際に生まれたガンマ線バーストだと推測された。現在はより高性能の望遠鏡を建設中で、さらに高感度のガンマ線バースト観測が期待される。
この記事は2019年11月26日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。
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