「チャレンジャー精神で挑んだ1年」と佐藤隼前主将(育・4年)は今季を振り返る。昨季東大は8年ぶりに予選リーグで敗退。「自分たちは常勝校ではない。一試合一試合を全力で戦わなければ」。その結果、関東学生リーグ準優勝の好成績を残した。
特に奮闘したのが守備陣だ。味方がカバーしやすいコンパクトな陣形を作り、シュートにはゴーリー・大嶋省吾選手(育・4年)が的確に対応。リーグ戦平均3失点という数字は、東大を除く関東学生1部リーグ校の平均7.4失点を大きく下回る。
一方、攻撃には好不調の波があった。開幕後の2試合は苦戦。攻撃の時間を長く取る「ポゼッション」を重視していたが「ボールの保持に気を取られ、攻めたプレーができていなかった」。そこで少ないパスで相手の守備位置をずらし、強力な1対1で勝負を掛ける単純明快な戦術に絞る。「何をすべきか明確になった」結果、迎えた慶應義塾大学戦では11点を奪って大勝した。
だが単純な戦術一本ではすぐに対策されてしまう。攻撃の幅を広げたが、その分選手に迷いが生じ再び不調に陥る。ロースコアで展開した決勝トーナメント1回戦は延長戦の末に辛勝。しかし関東王者の壁は高く、決勝では、簡単にはボールを離さず精度の高いシュートを放つ早稲田大学との攻撃力の差を見せつけられた。今季東大の攻撃陣の主力は全員4年生。この差を埋めるには、佐藤前主将が「天才」と評するアタッカー・塩澤拓斗選手(農・3年)ら3年生以下の飛躍が欠かせない。
(児玉祐基)