東大は8月6日、公平公正かつ安全な情報化社会の構築を目指し、インターネットのセキュリティー課題などについて研究や情報発信を進める寄付講座を本格始動すると発表した。今年4月1日に情報学環内に新設されていた寄付講座で、期間は2020年3月31日まで。同分野の学際的研究部門として、日本初の試みだという。
寄付講座名は「セキュア情報化社会研究グループ」(SISOC―TOKYO)。代表教員は、社会情報学などが専門の須藤修教授(情報学環)が務める。指紋認証などセキュリティーに関する製品を提供するディー・ディー・エス(愛知県名古屋市)の代表取締役社長・三吉野健滋氏の寄付を基に創設した。
研究分野では、インターネットのセキュリティー課題に対するID管理や本人認証技術などの開発を進める。現代の情報通信分野を自然科学的視点に加え、社会科学的視点からも検討し、課題の発掘や再定義にも取り組む。
その他、外部の研究機関や民間企業と連携し、情報通信分野でのセキュリティー維持と危機管理に秀でた専門的人材の養成を目指す。サイバー攻撃や今年10月のマイナンバー制度施行を受けてセキュリティー対策の重要性が高まる中、研究に基づいた定期的な情報発信や、国に対する政策提言も実施予定だという。
8月以降、共同研究課題や研究者・専門家の公募を開始。セミナーやシンポジウムも開催していく。
この記事は、2015年9月1日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。