ある団体がその価値を様々な方々に認められ、成長していくのを当事者として体験するのは、いつだって楽しい。私たち180 Degrees Consulting Japan(以下、180DCJ)のメンバーは今まさにそのような状況下で未熟な自分たちの価値をどのように極大化させられるのかを日々考えている。
180DCJは、大学生・大学院生がNPOやNGOに無償でコンサルティングを行う団体で、シドニー大の学生が2008年に立ち上げた団体である180 Degrees Consulting(以下、180DC)の東京支部にあたる。180DCには2014年6月現在で世界中に36の拠点がある。180DCJは2012年10月に東大の学生を中心とした初期メンバーによって立ち上げられ、毎学期2プロジェクトずつを回している。現在の180DCJメンバーは、運営メンバー7名に各プロジェクトのコンサルタントたち各4名ずつを加えた15名からなり、東大生・東大院生13名と一橋大生・慶應大生1名ずつにより構成されている。学年ごとに見ると、学部3年生と修士1年生が最も多い。
私たちのミッションは「社会奉仕活動をおこなう団体の抱える問題に対してイノベーティブで実用的な解決策を考えることにより、彼らがより大きな影響を社会に及ぼすことができるようサポートすること」である。以下、このミッションを追求しつつタイトルに掲げた目標を達成するために私たちがしている努力の概要を紹介する。
運営メンバーの仕事は上のミッションを果たす能力の維持と、タイトルにある目標達成に向けた団体の発展である(この2つは峻別できない)。具体的には、コンサルタントのリクルーティングやクライアントの獲得(と課題設定)、お金の管理やトレーニングのセッティングやイベントの開催、広報活動、成長戦略立案・実行など多岐にわたる。これら全ての項目は重要かつ議論を要するため、運営メンバーは毎週土曜日に2時間ほどミーティングを行い、議論・意思決定・タスク割り振りを行う。例えば成長戦略を例にとると、私たちの言う成長とはタイトルの目標に近づくことなのであるが、
- プロジェクトの質の向上
- プロのコンサルとの差別化
- 各方面への広報
- 団体の国内展開
が議論の焦点になっており、それらについてある週のミーティングで集中的に議論を行う。その結果180DCの過去プロジェクトの報告書(100を超えるアーカイブがある)の精査や各媒体へのアプローチなどがタスクとして生じ、それを各メンバーがこなしてゆく。
コンサルタントの仕事は、運営メンバーがクライアント様の元に2ヶ月ほど通って定式化(十分にできていないのが現状であるが)したクライアント様の課題に3ヶ月ほどかけて取り組み、実際にクライアント様に価値を提供することである。つまり、この団体の花形である。仕事の内実はプロジェクトによってまちまちであるが、多くのプロジェクトではコンサルタントチームが週1でクライアント様の元に伺い、その結果を踏まえてチームだけのミーティングを週1や週2で行いつつ議論をし、タスクを決め、こなす、というサイクルが回っている。中間報告会と最終報告会で成果を各関係者の皆様に報告し、プロジェクトは終了となる。
これまで淡々と私たちの活動内容について述べてきたが、言うまでもなく私たちは社会的な価値創造を志向している。つまり、才能と時間を持て余している優秀な学生と、課題を抱えている社会問題解決に熱心なNPOを繋ぐことで、世界が少しでもより良い場所になればよいと願っている。今日まで180DCJは6つのプロジェクトを経験してきたが、それらの結果は、私たちの理想は日本においてもただの理想ではないと私たちに確信させてくれるものであった。ときにオーバーワークやプレッシャーに苦しむこともあるが、この確信と優秀で熱意あふれる仲間の存在に背中を押されて、(少なくとも筆者は)前に進むことでできている。一方で、クライアント様はじめ、東大関係者の方々、各方面の方々が私たちの活動に少しでも価値を認めてくださりお力を貸しくださることも、私たちの大きな励みになっている。
180DCJは、今後数年で確実に大きくなるだろう。この団体には人を惹きつける魅力と確かな価値があるからである。ただ、「社会問題の解決に対し熱意がある日本の有能な学生達のアイデアと行動を通して確かな成果をNPOやNGOに提供するコンサルタント集団としての地位を5年以内に確立」できるかどうかは、今の私たち、そして私たちの背中を見ている後輩たちの今後数年間の頑張りにかかっている。私たちは生まれたばかりの夢を約束に変えてきた。これからはその約束を現実にするため、奮闘していく。
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