インタビュー

2015年10月17日

【躍進する地方高校の実態】修猷館高校 現役で東大にいく学生に共通することとは?

福岡県立修猷館高校。博多駅から地下鉄で15分ほどの西新にある。今年度、東大に21人の合格者を輩出した福岡県でも随一の共学の進学校である。また、運動会や文化祭などの学校行事も盛んである。今回の記事では修猷館高校の文武両道の秘訣(ひけつ)に迫る。   高校訪問修猷館高校写真   まだまだ残暑の厳しい8月末、記者は西新に降り立った。運動会の練習で喚声が聞こえてくる校舎で進路部長の境智毅教諭に話を聞いた。 驚いたことに修猷館高校には、はっきりとした校訓がない。しかし、校歌(修猷館では館歌という)にある一節「御国のために世のために」に見られるように、「自由闊達」「不羈独立」の精神が修猷館にはあるという。簡単な例として、修猷館には服装検査がなくスカート丈の厳格な規定もない。一言で言えば自由な校風である。 一学年は約400人で学校全体で1300人ほどの生徒が在籍する。各学年10、11クラスの編成であり、文系が4クラス、理系が6、7クラスである。そのうち文系と理系に一クラスずつ「英数クラス」というクラスが存在しており、文系の生徒であれば東大、京都大学、一橋大学を目指す生徒が所属する。理系の生徒であれば東大、京大を目指す生徒が所属する。また理系には「医進クラス」というクラスが一クラス存在し、医学部医学科を目指す生徒が所属する。医進クラスは、地元の九州大学が入試に課す理科3科目にも対応している。英数クラス、医進クラスを希望する者は基本的に入ることができる。ここにも高い志望を尊重する自由の校風が現れているのだろうか。 ここで修猷館の生徒(修猷生)の1日に迫ってみよう。修猷生の朝は早い。0限という補習時間が午前7時35分から始まる。授業時間は50分。昼休憩は2回あり、通称一昼(午前11時50分~午後0時30分)と二昼(午後1時20分~午後1時40分)である。生徒総会(年8回程度)がある時は一昼と二昼が入れ替わるようだ。 高3は運動会の主役であるため夏休みも練習が忙しく、本格的に受験勉強に取り掛かることができるのは9月以降となる。ちなみに記者が取材した8月下旬時点で既に学期が開始しているとのことであった。一見時間に余裕がないように見えるが、ここで境教諭は2014年度現役で東大に合格した生徒の話をした。14年度東大に現役で合格した修猷生は4人。しかし、彼らは学校行事の長として積極的に関わっていた生徒ばかりで東大でも華々しい活躍をしているとのこと。また、昨年度合格者数7から今年度合格者数21と大きく東大合格者が増えた理由として、昨年合格するに足りる学力を持っていたが浪人することになった生徒が今年度大挙して合格したため増加したように見えることが挙げられるという。不合格になったが初志貫徹してリベンジを果たした生徒の多さが今年の合格者数につながったのである。 16年度より始まる、推薦入試についても話を聞いた。修猷館高校としては東大推薦入試に特化した対策を取る予定はないという。しかし、推薦入試に挑戦したいという生徒が現れれば意志を尊重して支援する予定だとのこと。 近年高まる医学部医学科志向については「資格志向、安定志向の結果。医師になる人物には優秀でいてもらわないと困る。そのためにも英数クラスが存在する」とのこと。また、文部科学省が打ち出している人文系学部再編の動きについては、「技術立国である日本にとって政治・経済分野が弱いというのは致命的。文系学部を現在のように冷遇するのではなく、むしろ再発展させる必要があるのではないか」とのことである。 大運動会の練習で校庭から響いてくる喚声を聞きながら記者は修猷館高校を後にした。 (取材・三宅貴志)

 

【躍進する地方高校の実態】

『最後まで諦めず』合格者伸ばす 岡山朝日高校

自分の意志で進路実現 熊本高校

「堅忍不抜」「自主自律」 札幌南高校

「東大受験を後押し」 合格者増やす筑紫丘高校

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